タケノコの白いモロモロの正体は?~料理のサイエンスコラムvol.14
あなたの料理は、科学でもっとおいしくなる!
科学と料理のおいしい関係
「調理科学」は私の専門分野です。
blogでは、身近な料理で役立つサイエンスをご紹介します。
【タケノコの水煮に白いモロモロが・・・食べてもいいの?】
タケノコの季節ですね!
タケノコでは、よく質問を受けることがあります。
タケノコの水煮(特にパック入り)を縦半分に切ると、
ひだ(節)の部分に白いモロモロとしたかたまりがたくさんついていることがあります。
「これって、取るべき? 体によくないの? 料理の味を悪くしないの?」
と思ったことはありませんか。
消費者センターにも、クレームとして寄せられることが多いそうですよ。
①白いモロモロの正体は
これは、チロシンというアミノ酸の一種です。
チロシンは水に溶けにくい性質を持つため、
ゆでた後に結晶となってタケノコの内部に残ります。
②体にいいもの?悪いもの?
チロシンは、脳の神経伝達物質を構成するものの一つでもあり、集中力・やる気を高める、ストレスを緩和するという効能のサプリメントにもなっているくらいです。
ですから、体に悪いものでは決してありませんので、ご心配なく。
春の食べ物にこれらが含まれているのって、なんだか意味がありそうな気もしますね。
③味としては?
だからといって、白いモロモロを積極的に食べようとは、私は言いません(そう話を持っていく人もいますよ)。
料理人は、縦半分に切って、竹串のとがっていないほうでひだの間をこすってかき出して、水洗いします。
理由は、舌触りが悪いのと、見た目が悪いから。
チロシンはアミノ酸なのでうまみ成分だから取らないという人もいますが、
昆布やかつお節に含まれるような強いうまみ成分では決してなく、それらとともに存在するアミノ酸ではありますが、うまみとして重宝がるほどのものでもないというのが、私の見解です。
④結論
取べきかどうかの結論は、
「どちらでもよい」のです。
栄養があるものだし、うちは気にならないという方であれば、そのまま使ってOK。
食感や見た目が気になるのであれば、竹串でこそげて洗いましょう。
その他の大事な下ごしらえとしては、
パック詰めのタケノコの水煮は、ニオイがあるので、
切った後に水洗いしてから、熱湯でゆでてくさみを除いてください。
特に煮物では、下ゆですることをおすすめします。
薄切りにしてから下ゆですると、白いモロモロはある程度自然に取れてなくなりますよ。
サイエンス・クッキングは、こんな日々の料理のなぜ?を明らかにします^ - ^
本日も最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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