料理のサイエンス コラム vol.8
あなたの料理は、科学でもっとおいしくなる!
科学と料理のおいしい関係
「調理科学」は私の専門分野。
本を書いたり、料理教室や学校での指導をしています。
ブログでは、身近な料理で役立つサイエンスをご紹介します。
【フライパンのこげつきを防ぐ~肉・魚編その2】
シリーズ3回目
vol.6では→詳しくはコチラ
フライパン(鍋)に油を入れる前に、ガンガン熱すると、
肉を入れてもくっつきにくくなる。
vol.7では→詳しくはコチラ
肉は常温にしばらくおいてから、
フライパン(鍋)で焼くとくっつきにくくなる。
というお話をしました。
同じ投稿をフェイスブックでもしたところ、
「早速、実践してみたら、確かにくっつかなかった」
とのご報告コメントをいくつかいただき、うれしかったです
それでも、いざ今から料理するというときに、
「あっ!冷蔵庫から肉を出しておくのを忘れた~。
冷たいまま使ってしまえ~」
ってことだってあるでしょうし、
鍋の材質によっては、
この2つのポイントを実践したつもりでも、
やっぱりくっつきやすいっていうことはあります。
特に、アルミの打ち出し鍋で肉じゃがなどを作ろうというときは、まずくっつきますね。
そ・こ・で、3つ目のポイント
『肉を入れたら、動かすな!
すぐに炒め出してはいけない』
これは、肉じゃがでも、ステーキでも、魚のソテーでも一緒です。
よくある肉じゃがでご説明します。
肉を入れた瞬間
「やばい!鍋にはりついた!」
と思うことって、ありませんか?
あわてて、へらで混ぜると、
見事に鍋底にくっついていて、
それを無理にへらでこそげとるから、肉がボロボロ。
『肉を動かさないのが鉄則』
肉を入れたら、鍋底に広げて、あとはしばらくそのまま待つ。
多かれ少なかれ、鍋に肉ははりつくものと思ってください。
でも、
はりついた部分に火がじりじり~っと通ると、
その部分が焼けて、ぺろっときれいにはがれます。
それを、あせってこそげとると、
肉がボロボロになり、肉汁が出てしまう。
これって、残念ながら……
うまみが流出するばかりか、
肉汁に含まれている成分で余計に焦げるのです。
みなさん、焼肉でそれをご経験されていませんか?
焼き網に置いたら、きちんと火が通るまで裏返さない。
すぐに肉の場所をずらそうとすると、ひっついてとれないばかりか、肉汁が流出するでしょ?
鍋で肉じゃがを作るときも、同じなのです。
決してあせらず、見守っておくと、はがれた瞬間がわかります。
そこで初めて、へらで混ぜるのです。
そうすれば、するっと肉ははがれます。
♪
鍋に肉を入れた瞬間に、へらで炒め始めるというのは、
まるで、傷にガーゼをあててかさぶたになったのを、治る前にはがした状態と同じ。
サイエンスで説明できますが、長くなるので割愛します。
このポイントをすべてやってみても、
うちの鍋では、どうしてもはりつくんです!
という方がいらっしゃったら、最後の手段
肉を入れて、くっついてはがれないと思ったら、
野菜をすぐに入れてしまいましょう。
それから、しばらく待つ。
野菜の水分で肉を蒸し焼きにして、スチームを与えた状態で、
ふやかして、はがすのです。
みなさん、テフロン加工のフライパンに慣れすぎているのだと思いますよ。
テフロンは例外。
肉がくっつかないのはいいですが、
肉がおいしく焼けるかは、また別の話です。
だって、ステーキ屋さんなどのレストランが、テフロンで肉を焼くのを見ないでしょ?
どうして、今まで、誰も教えてくれなかったの?
と思うようなちょっとしたこと。
これがわかるだけで、日々の料理に、ずいぶんストレスなくなり、
おもしろいな~と思えてきます。
みなさん、ご存知なくて、当然なのです。
・料理本を読む
・料理教室に通う
でも、こういうことは教えてくれませんよね。
素晴らしいレシピをたくさん教えてくれる料理本も、料理教室もあります。
だから、私は、それは誰かにお任せして、
自分が専門とする調理科学を、
主婦がいつも作る料理にとことん落とし込んで、
『台所のサイエンス』を切り口にして、
おいしい料理を作る方法 を、
伝えることにしました。
これで、みなさんの毎日の料理が、
もっと楽しいものになるお手伝いができたらうれしいです
本日も最後までご覧いただき、ありがとうございました。
食育(子供料理教室・講演)・調理科学・フードコーディネート
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