料理のサイエンス・コラム vol.5
料理のサイエンス・コラム vol.5
あなたの料理は、科学でもっとおいしくなる!
科学と料理のおいしい関係
「調理科学」は私の専門分野。
本を書いたり、料理教室、学校での指導をしています。
ブログでは、身近な料理で役立つサイエンスをご紹介します。
【うどんやそうめんをゆでるときの、「差し水」とは?】
夏の間、そうめんでちゃちゃっとお昼ご飯~ という日はありませんでしたか。
うちは、いただきもののそうめんがたくさんあって、必死になって食べていました~。
ところで、みなさん、そうめんをゆでるときに
「差し水」をしますか?
「差し水」とは、ゆでていて、湯がふきこぼれそうになったときに、
おたま1杯くらいの水を入れて、沸騰を抑えることをいいます。
そうめんだけでなく、乾麺のうどんでも、パッケージに書かれているゆで方に、
「差し水」と書かれているものを目にすることがあります。
古くから、こうするとおいしくゆでられると伝えられてきた方法だし、
正直言って効果のほどはわからないけれど、
とりあえず差し水しておこうと、そうしている人も多いのでは?
・‥…─*・‥…─*・‥…─*
☆科学的にいえば・・・・・・
①そうめんに「差し水」は必要ありません。
ふきこぼれそうになったら、火を弱めればOK。
②乾麺の太いうどんで、ゆで時間が長ければ
「差し水」は必要です。
・‥…─*・‥…─*・‥…─*
☆それはなぜ?
差し水は、湯の温度を下げるために行います。
麺は、熱伝導で、表面から中心部へと、熱が伝わり、
同時に水がデンプンに吸収されて、火が通っていきます。
うどんのように、麺が太いほど、ゆでている間に、
表面は十分やわらかくなっているのに、中はまだかたい
といった、火通りの差が、生じます。
このままゆでていくと、中心に火が通るころには、
表面はやわらかくなり過ぎてしまうということが起こります。
そこで、差し水で湯の温度を下げると、
表面に火が通るのをいったん抑えつつ、
中心部にはその間にも熱伝導で熱がしっかり伝わっていくので、
表面と中心の火通りの差が小さくゆであがるのです。
一方、そうめんは、極細なので、この差はそれほど出ません。
だから、一気にゆであげてしまいます。
本日も最後までご覧いただき、ありがとうございました。
食育(子供料理教室・講演)・調理科学・フードコーディネート
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