新刊『パンづくりに困ったら読む本』を執筆しました
辻調グループ 製パン教授
梶原慶春、浅田和宏 共著
2週間前に発売の本書、好調に売れているようです。
初版の部数が、売れ行きを見込んで通常の2倍刷ったと聞いて、
執筆の大部分を担った私としては、
売れるかどうかドキドキ(汗)・・・・・・
と、責任を感じてしまうところだったのですが、
なんと2週間足らずで、再版がかかり、うれしく感じています。
こちらの本は、2章に分かれていて、
前半は、辻調の梶原先生、浅田先生が、
・バターロール
・山食パン
・フランスパン
・ブリオッシュ
・クロワッサン
の5つの基本パンと、そのアレンジパンの作り方を紹介しています。
この5つを選ぶときに、
編集者の方が、
「おうちでフランスパンやクロワッサンが焼けるなんて憧れ」
とおっしゃっていて、
そういうちょっと家庭では無理なんて思っていたパンも、
本の通りに作れば、バッチリできるというのがこの本のウリです。
(池田書店HPより)
とにかくカラー写真がずらりと並んで、
「こね方」「生地の状態」を写真が懇切丁寧に語ってくれています。
書店で手にとってくださったら、見てほしいポイントが、
「パンの生地って、最初はベタベタでやわらかくてもいいんだ!」
という点。
パンをこねるというと、やわらかい粘土のように手にくっつかないような生地を、たたきつけたりしてこねるという図を、思い浮かべる方が多くいらっしゃると思いますが、
そういうパンは、きっと出来上がってもかたかったり、
焼き立てはやわらかくても、すぐにかたくなったりするのではないでしょうか。
私は、本の撮影に立ち会って、この生地のやわらかさにまず驚きました。
最初は、べたべたで、生地を台にこすりつけては、かき集めるということを繰り返します。
すると、生地に弾力やコシが出てきて、
そのうちに、台からつるんとはがれるようになり、手にもくっつかなくなる。
その状態になってはじめて、生地を持ち上げて、生地の重みを利用して、台に叩きつけるというプロセスなのです。
今まで、手ごねでパンを頑張って作っても、その味に納得できなかった方には、
一度、読んでみて欲しい内容です。
(池田書店HPより)
さて、私が執筆した後半部分(p121~203)は、
パン作りのQ&A
です。
パン作りをしていて、
「パンはどうして膨らむの?そのメカニズムは?」
「なぜこの作業が必要なのか?」
「この材料はなぜ必要なの?どんな働きをしているの?」
「どうしてこんな状態になるのか?」
「この失敗は何が原因?」
「どう改善すれば、もっとおいしいパンが焼ける?」
など、
「なぜ?」の連続ではありませんか?
きっとパン作りをしていて陥るであろう疑問を集めて、
調理科学からのアプローチで、懇切丁寧に解説しました。
執筆したQ&Aの数は、なんと200問!
技術的なことは、辻調の先生にお尋ねして文章にまとめました。
たとえば、
Q87 バターなどの油脂を後から加えるのはなぜですか?
というQであれば、
先生にお尋ねしたときの答えは、
「生地をある程度こねてまとまってから油脂を混ぜ込むほうが、ミキシングに時間がかからずに、効率よくパンができるから」
ということですが、
この一言に、「それはなぜなのか?」
と踏み込んで、内容を掘り下げ、
科学的な視点から理由を説明していくのが私の仕事。
「調理科学」というと、難しい、とっつきにくい印象があると思うのですが、
それをわかりやすく伝えたいという想いをもって、まとめました。
このように、「パンの作り方+コツの科学」がセットになった本は、
初めてだと思います。
今回は、著者としての契約ではなかったので、
私は、製パン科学監修 という位置づけになっていますが、
私の中では、著者並みに力を入れて頑張った!といえる本ですので、
もし、書店で見かけたら、ちらりと中身を見ていただけたら、励みになります。
製作期間1年。
とにかく、この1年は、この本に縛られていました(笑)
365日のほとんど、パソコンや原稿に向かっていました。
「料理が好き、お菓子が好き、パンが好き!」
とにかく「好き」が原動力になって、頑張れたのだと思います!
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