室生山上公園 芸術の森~奈良 宇陀
「室生山上公園 芸術の森」
公園という名前がついていますが、
一般の公園とは違います。
しずまりかえった森の緑の中で、
アートな感性にどっぷりつかれる場所です。
室生はやおよろずの神のミムロともよばれる地域で、
パワースポットとして、気の持つ癒しを求めに来られる方もいる、
なんて話を聞いたことがありますが、
この公園にたたずむと、そんな気持ちになります。
まず、南入口から入って、森の間を抜けていきます。
すると、大きな第一湖が見えてきます。
その湖には、写真にある、ピラミッドの島、ステージの島などの3つの島があり、
シンメトリーを意識した、コロセウムの一部のような観客席があります。
ステージの島をはさんで、観客席から対岸の観客席の写真をとってみました。
かなり距離があるのですが、
音響効果によって、
ささやき声でも、対岸の観客席に聞こえるんですよ!
対岸の観客席にいるパートナーに向かって
「こんなに小さな声でも聞こえる?」とささやいてみてください。
ピラミッドの中に入り、
その向こうに目をやると、水面に、紅葉がはじまった風景が映し出されています。
てくてく歩いて、坂を下ると、第二の湖が見えてきます。
湖の中央に天文の塔があり、
そこを太陽の道が通っています。
これは、北緯34度32分の東西の軸線で、
伊勢、室生寺、長谷寺、箸墓古墳など、
古来より重要な拠点が置かれてきた場所をつなぎ、
太陽信仰とも関係があるそうです。
天文の塔のスリット部分では、
時の経過にあわせて、太陽が動くと、
内部に差し込む陽光の角度が変わる造りになっています。
天文学的な宇宙の営みと、
われわれ人の営み、
そして神が結びつけられ、表現されているようです。
天文の塔の頂上にのぼると、
らせんの水路です。
第一の湖から、水の流れがつながっているのです。
きんもくせいがぽつんと立っています。
見る角度をかえると、また違う印象に。
ここに点在するアート群は、
室生出身の彫刻家である井上武吉氏が亡き後、
友人の彫刻家 イスラエル出身のダニ・カラヴァン氏が
その意志を引き継いで、完成させたものです。
カラヴァン氏は、世界各地で、その場所の環境や歴史と深く結びついたスケールの大きな作品を制作している、環境芸術の先駆的なアーティストなんだそうです。
しおりより・・・
与えられた場所との対話を通じて、
その場所の自然や地理的特徴や歴史的背景を、
新たな視点から表現し、
人々が作品の中に参加することによって、五感を刺激されるような空間全体を創り出す。
創り出された形だけでなく、場所の持つすべての要素、
すなわち、光、水、空、気、風、土、木々、鳥の声など、
その全体が調和することを大切にしている。
とぐろを巻いたようなオブジェがまた出現。
螺旋の竹林です。
地下へと続く階段を降りていくと・・・
地下道の先に、地上へと続く階段が。
そこに光が差していて、
ここでも、光と影のコントラストがみられます。
外へ出てみると、入口と出口が意外に離れていることにびっくり。
次に見えるのは、波形の土盛。
この道を逆方向に歩くと、目の錯覚で道の細さが変わります。
建物の中でくつろげるスペースもあります。
わたしたちは、こちらで、
先のblogで紹介したのらのパンを切り、クリームチーズなどと一緒にランチタイム。
奥のソファでは、ゆったりくつろぎながら、旅雑誌などを読んだり。
ぼーっとしたり。
アートな空間の中だと、それも贅沢な時間に変わりますね。
写真をご覧いただいたらわかると思いますが、
週末にもかかわらず、ほとんど人がきていませんでした。
2006年にできたのですが、3年たってもまだ知られていない!?
家族連れは私達だけで、
あとは、カップル、ご年配のご夫婦が多かったです。
デートスポットなんですね。
みんなに教えてあげたいけど、混まないで欲しいなぁと思ったり。
人が少ないので、
モニュメントの立つ森の中に、ひとりぽつんといるような静けさです。
静かってこういうことなんだな、と改めて思うのは、
生活音が全くないんです。
スピリチュアルな空気も漂いそうなくらい、静まり返った中で、耳を澄ますと、
風がそよぐ音、小鳥の声、木々のざわめき、
が心におだやかに響いてきます。
大自然の中で感じるそれと違うのは、
木の配置、オブジェの配置、路の造り、
目に見えるもの、からだで感じるもの、すべてが、
カラヴァン氏によって計算されつくされたアートであるということ。
すべてにおいて、洗練されている、
といったところでしょうか。
「室生山上公園芸術の森」
HP http://www.city.uda.nara.jp/sanzyoukouen/artist/index.html
住所 奈良県宇陀市室生区室生181
観覧料 大人400円
定休日 火曜
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