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調理科学を駆使した料理~辻調の講習会にて

前回のblogでご紹介したFujiya1935には、

前々から行きたかったのですが、

よし!行くぞ! という気持ちで、

行った理由は、その数ヶ月後に、

調理科学を駆使した料理の講習会
辻調の卒業生の会(Compitum)でするためでした。

      

調理科学は私の専門分野で、

大学でそれを学んだときは、

現在のように、それが料理界で、

新しい形で料理に使われるなんて思いもよらないことでした。

伝統的においしいといわれる調理法、そのコツには、

科学的裏づけがきちんとある

ということを研究する学問というとらえ方をしていました。

つまり、料理の作り方を科学をもって解説すると

もっと深く理解できるということですね。

          

料理界に、調理科学の理論を持ち込んで、

科学からヒントを得て、新感覚の料理を生み出してしまった巨匠が、

スペインのレストラン「エル・ブリ」のシェフ
フェラン・アドリア氏です。

エル・ブリは、レストランの敷地内に、

ラボ(実験室)をもって、

新しい料理をそこで生み出し、世界へと発信しています。

           

世界中からエル・ブリの料理が注目されるようになった

1990年代。

その影響を受けてか、

フランスでは、調理科学で有名なエルヴェ・ティス氏が、

フランス料理の三ツ星シェフである
ピエール・ガニエール氏とコラボレーションして、

どんどん斬新な料理を生み出していき、注目されました。

  →そのコラボの様子をご覧になりたい方はコチラ

           

そのときに、驚きました。

エルヴェ・ティス氏がピエール・ガニエール氏とコラボする前に、

エルヴェ・ティス氏の調理科学の本の

翻訳の仕事に携わっていたのです。

(フランス語を訳した文章を読んで、
科学的部分を検証、校正する仕事です。)

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 『フランス料理の「なぜ」に答える』(柴田書店)初版1998年

こんな形でエルヴェ・ティス氏が日本の料理界でも有名になるとは!

のちに、この本の翻訳の校正にも携わることに。

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 『フランス料理の「なぞ」を解く』(柴田書店)初版2008年

私は・・・・・・

古くからある伝統的料理を愛する人種なのですが、

(たとえば、フランス料理だったら、ソースが命!のように、

ヌーベル・キュイジーヌの流れに反する考えですね。)

ただ、調理科学が専門なので、

この種の新しい料理の原理、たねあかしがわかるから、

そういう意味で、

その発想に、人一倍 感激したり、感心したり。

料理を舌はもちろん、脳みそで楽しんでしまうタイプだと思います。

            

相当長い前置きになってしまいました。

料理オタクなので、お許しください

では、その辻調で、2008年11月に行った講習の模様を、

先生に撮っていただいた写真を使わせていただいて、

簡単にご紹介したいと思います。

                           

以前、共著で『西洋料理のコツ』(学研)

という本を書かせていただいた、

西川清博先生に実演していただき、

Dsc_0375

私はそれを科学的な目で、なぜそうなるのかという部分を説明するということをしました。

         

1.泡の料理について

エル・ブリから、世界へと発信した料理のひとつが、

「泡」です。

食材で泡を作って食べさせるということで、

一般的に思いつくのには、「卵白の泡」「生クリーム」の泡ではないでしょうか。

でも、エル・ブリでは、決して泡が立たないような

果物や野菜のジュ(汁)などを、泡立てることを始めました。

なぜか?

それは、ひとつに、

今までにはなかった驚きの食感を作り出すこと

そして、泡の中に香りを閉じ込めること です。

泡がパチンとはじけたときに、感じる香りと、

ジュ(汁)で飲んだときの香りは違いますよね。

それが、「泡」にするおもしろさです。

それを、“エスプーマ”といい、

Dsc_0366

この専用の機械を作って、強制的にガスを送り込み、

泡を作り出しました。

Dsc_0420

    Dsc_0423

それから、エル・ブリでは、

もっと軽い泡ができないかということで、

“ヌーベ” “エアー” と呼ばれる、

はかない泡を作る手法も、料理に登場するようになりました。

Dsc_0432

        フルーツジュースを泡立てる!?

       Dsc_0438

大豆レシチンを使います。

これを入れると、泡が立たない水分でも、

泡立つことができるのです。

ゼラチン等を用いても可能です。

そのほかにも、泡立たないはずの液体に、

バターや乳製品を溶かし込めば泡が立ちます。

すべて原理が違います。

その原理を比較しながら、

泡のでき方、できた泡のかたさなどの特徴、

応用できる料理について、話を進めました。

         

2.スフェリカス~人造(人工)イクラの作り方を料理に生かす

スフェリカスとメニューに書かれることもあれば、

カプセルと表現されることもあります。

つまりは、イクラのばったもんです。

まずは私が

理科の実験のように、試験管とスポイトを使って、

簡単に、人造(人工)イクラの作り方をお伝えしました。

Dsc_0462スポイトで赤色液を滴下すると・・・

     Dsc_0472

ちなみに、これは食べてもおいしくありません

わかりやすいように、食紅で着色したものです。

            

スフェリカスは、

アルギン酸ナトリウム & 塩化カルシウム

この2つを薬局で手に入れて、作りましょう。

それから、西川先生に、

さまざまな素材を使って、

大小のスフェリカスを作ってもらいました。

大きいバージョンは、カラフルにしてくれました。

Dsc_0503

   野菜、果物のジュースやピュレを固めています。

   カラフルになるように、素材を取り合わせてくれました。

  Dsc_0582

お客さんは、目の前にスフェリカスが出てきたら、

あ~んとお口をあけて、

一口で食べます。

口の中で、かむと、パチンとカプセルがはじけ、

中から、どろ~んとジュースがあふれ出してくるってわけです。

 

          

3.液体窒素で、固めた料理

液体窒素って、

私の中では、大学の食品化学の研究室で使っていたなあ、という存在。

‐198℃で瞬時に凝固させるのに用います。

それが調理場の中に、出現するなんて、

誰もが予想できなかった。

実験以外で食べ物を凍らせるなんていう、

概念はなかったのでは??

だって、これですよ。

Dsc_0368

触ったら、低温やけど。

Dsc_0520

コレ、料理中 ↓

Dsc_0576

煙じゃないですよ。

ドライアイス状態で、液体窒素のまわりはモクモクになっています。

西川先生はいくつかの料理を作りだしてくれました。

Dsc_0573

-198℃で固めたものは、

表面は固まっているけど、中はどろっとしていて、

口に入れると、

冷たい表面の膜がはかなくパリンと割れて、

中からどろ~っと、表面ほど冷え切っていないピュレ状のものが出てきます。

これまでには、ありえない食感ですよね。

           

これらが、代表的な、科学で生み出した料理です。

エル・ブリから、世界に発信された有名な料理は数々ありましたが、

私が一番びっくりした発想は、

フォアグラを凍結→粉末にして、器にカキ氷のように盛り、

そこに、熱いコンソメスープをかけて、

溶けかけたところをいただく料理です。

フォアグラはテリーヌ、パネしてソテーという調理法を愛していた私は、
驚愕でした!

            

このような料理を、
モラキュラー キュイジーヌ と呼ぶこともあります。

マンダリン オリエンタル東京の38階にある、

TAPAS MOLECULAR BAR
(タパス モラキュラー バー)

は、そういった料理を出すお店のひとつ。

テレビでご覧になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

HPに、

“A unique tasting experience”

と書かれていますが、

この種の料理の特徴をうまく表現されていると思います。

本当に驚きの料理です。

その原理がわかると、もっともっとおもしろいデスヨ!

    →辻調のHPにて、講習会の内容が掲載されています
     (コチラ

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コメント

うーん
相変わらず、おもしろい

久々に脳みそが震えました

投稿: yukonosuke | 2009年10月 2日 (金) 16時56分

yukonosukeさん

いつもありがとう!

本当はもっともっと深く語りたかったところを、
blogにあまりにも詳しく書いてしまうと、

講習に来ていただいた方の価値がなくなってしまうので、

マニア心をかなり抑えつつ、書き綴りました。


その原理のお話など、
「この理論、どう考える?」なんていうように、yukonosukeさんとディスカッションできたら、
きっと話が尽きないでしょうね。

うずうず。

私の中で疑問なことも、アドバイスもらえるかも

投稿: まきすけ | 2009年10月 2日 (金) 17時26分

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